英語の絵本(2)

2020年7月20日

先月初めて絵本のご紹介をさせていただきましたが、あれからもうひと月!この1ヶ月間、たくさんある絵本の中から第二弾として何を紹介しようか迷いながら、夏がテーマのものやオンラインクラスで取り上げているテーマに関わるものをと思っていたのですが、結果的にテーマもテイストもばらばらの絵本を3冊選びました。この3冊はJIAの図書コーナーにも置く予定ですが、決して、是非一家に一冊!というわけではありません。(そのような本があれば、個別に紹介していきますね!)前回はアルファベットの絵本だったので、インターナショナル幼稚園に通う子どもたちであれば、どんなものでもいいので1冊は持っていてほしいという思いからご紹介しましたが、今回の3冊は、全てがお家での読み聞かせに向いているとは言えませんので、皆様の絵本に対する思いやどのように英語に触れていきたいかというお考えに合わせて、ご参考にしていただければ幸いです。

1冊目は”The Night Gardener”。 最近とても気になっていた絵本で、ネットでレビューを見て注文したのですが、期待を裏切らない、期待以上のとても素敵な絵本でした。2冊目は、時々立ち寄る大型スーパーの絵本コーナーで見つけた本で、”I need a NEW BUTT!” 。スーパーの絵本コーナーといっても意外に侮れず、ベストセラーから最近のヒット本を揃えており、これも最近の大ヒット作品なんです。ネットでもたくさんのレビューが書かれており、手にとってみて「子どもウケしそう」な絵本だと感じたので購入しました。3冊目は、私の娘のお勧めである”Should I Share My Ice Cream?” で、アメリカの子どもなら誰もが一度は読んだことのある大人気シリーズの一つです。

JIA図書用の絵本やここでご紹介していく絵本を選ぶ際、頭を悩ませるのが絵本の中に出てくる英語です。ネイティブの子どもたちに向けて書かれる英語の中には、意外と日本人の大人にとっては馴染みのないボキャブラリーやフレーズが出てくることも多く、私たち親たちが読み聞かせをするのが難しくなってしまうことがあります。(時には、あえてそういう本を選び、説明しながらご紹介するのもありかもしれませんが!)子どもたちにしても、英語の世界に飛び込んだばかりの子がほとんどですから、一つの文が長めだったり、複文だったりすると理解できません。もちろん、積極的に「生の英語」には触れさせてあげたいですし、「ネイティブの言い回し」でも、取り入れやすいものであればどんどん出していきたいです。今の段階では、必要に応じて限定的に日本語でサポートを入れながら、ストーリーに引き込まれ、同時に英語の音にも親しんでくれるのが理想だと思っています。これは、自分の子どもたちに日本語と英語の絵本を読み聞かせしてきて長い間考えてきたことですが、なかなかすっきりしない長年のテーマです。もし、英語の絵本をお子様に読んでみたことのある方がいらっしゃれば、是非、体験談をお聞かせくださいね。皆さんの声を参考にさせてもらいたいと思っています。

前置きが長くなってしまいましたが、これから一つ一つ取り上げていきます。今回は絵本に出てくる英語についても少し説明を加えました。ご参考までに!

1. “The Night Gardener” by Fan Brothers

舞台はある町のグリムロック通り。ここで不思議なことが起こり始めます。夜の間に何者かによって木々が刈り込まれ、フクロウやネコが現れるのです。次々に現れる動物に人々は大喜び。町はどんどん明るくなるようです。ある夜、グリムロック通りに住むウィリアムは、この動物たちのトピアリーを作る「夜の庭師さん」に出会います。庭師さんはウィリアムを誘って…!? そして別れる前に贈り物をします。やがて冬が訪れ、動物たちも消えてしまいますが、グリムロック通りはどうなったのでしょうか。

とにかく美しい絵本です。落ち着きのある英語で、文の持つ雰囲気と絵の雰囲気が非常にマッチしており、静かでMagicalな世界に引き込まれてしまいます。絵を見ているだけでもストーリーがわかります。私は最初の方に出てくる猫の木の絵でノックアウトでした(笑)。何度も何度も絵を見てしまいます。大人が癒される絵本だと思います!

★ Gardener

さて、子どもたちは “gardener”(庭師さんや植木屋さん)がどんな仕事をするか知っているでしょうか?住んでいる環境によってはあまり馴染みがないかもしれませんね。実はJIAにも「ガーデナーさん」はいます。植木の造形などをしているわけではありませんが、植木や裏庭の芝の水やりや手入れを定期的にしてもらっています。お庭のあるお宅では庭師さんや植木屋さんが定期的にお手入れにくるところもあるかもしれませんが、もし、公園や庭園などでよく手入れされた植え込みを見ることがありましたら話題にしてみてください!

★ Topiary  

皆さん「トピアリー」をご存知ですか?私はこの絵本をきっかけに初めてその奥深さを知りました。英語のtopiaryという言葉を目にすることはあり、何となく理解はしていたのですが、絵本の中にも出てくる言葉なので、改めて調べてみました。日本語でもトピアリーというのですね!植木を刈り込んで作る造形物で、西洋庭園で見かけるような凝ったものから、家の玄関の植え込みにあるような小規模なものまで種類は様々です。この絵本に出てくるような動物のトピアリーがある公園が実際にあるようなので、いつか行ってみたいと思います。ちなみに、日本の菊人形はフラワートピアリーとして海外でも愛好家には高く評価を受けているそうです。

2. “I need a new butt!” By Dawn McMillan 

(*イギリス版では“I need a new bum!”です。)

 ある日、自分のお尻が「割れている(got a crack)」ことに気が付いた男の子。お尻はいつ割れたんだろうと自問自答を始めます。プールの滑り台を滑った時?それとも、うちの中の階段の手すり (banister) を滑り降りた時?いや、自転車で跳ね上がっておなら(fart)をした時だ!そして、男の子は新しいおしりに付け替えなくちゃと、どんなお尻がいいかと想像をめぐらせます。カラフルなお尻、明るく派手なお尻、火にも弾丸にもびくともしない(fireproof, bulletproof) チタン(titanium)製のお尻、鎧(armor)みたいなお尻、車のバンパー(bumper)みたいなお尻…

結局、新しいお尻にすることを諦めて落ち込んでいたら、お父さんが台所のシンク下の水漏れ修理をしているところに遭遇。お父さんのズボンが腰の下の方まで下がっていて、お尻の割れ目が見えています。お尻の割れ目は感染るものだったのか!と驚く男の子…。

この場面で「あれ?今までお父さんのおしりに気付かなかったの?」と思われるかもしれませんが、考えてみると文化の違いなのでしょうか?ご存知の方もいらっしゃると思いますが、ヨーロッパやアメリカでは、大人と子どもが一緒にシャワーやお風呂に入ることはないので、お父さんやお母さんの裸を見ることがありません。だからこの男の子も他人のお尻をこれまでに見る機会がなかったようですね…。

正直に言うと少しくどいかな?という箇所もあり、JIAの子どもたちに読む時は一部を省いて読むかもしれませんが、子どもたちのくすくす笑う姿が浮かんできます。おうちで読み聞かせというよりはみんなを前にして幼稚園で読んであげたいで絵本です。英語も文章としては難しいところもありますが、ストーリー自体は単純で、絵で内容はわかりますし、Sillinessを楽しめる絵本です。ちなみに、「おしり」はアメリカ英語ではbuttですが、イギリス英語ではbumが一般的です。大人はもう少し婉曲的なbottomを使うことも多いです。

★絵本に描かれる「おしり」

実はこの絵本が店頭に置いてあるのを見て少し驚きました。アメリカでは、おしりは「プライベートパーツ」として扱いが非常にセンシティブだからです。日本では小さい子ども向けの絵本に面白おかしく描かれたり、自然に描かれたりする「おしり」や「(お母さんの)おっぱい」ですが、海外ではそれが絵本に出てくることには抵抗を持つ人も多いようです。最近では許容度が少し変わってきたかもしれませんが…。もちろん、今も昔もアメリカの子だって「おしり」は大好きですが!絵本の紹介からは話が逸れてしまいますが、海外ではプライベートパーツに対する意識が少し違うことを是非知っておいてくださいね。私は海外生活が長いせいもあって、日本独特の寛容さに少し抵抗を感じることがあります。

3. “Should I Share my Ice Cream?” By Mo Williams

アメリカの子どもなら誰もが知っている「ゾウくんとブタちゃんのシリーズ」のうちの一冊です。 漫画のような絵本ですが、子どもたちの日常にありそうな事柄をシンプルで明解な英語で愉快に描いています。「アイスクリームを分けるべき?」では、夏の暑い日にアイスクリームを買ったゾウくんが、ふと大親友のブタちゃんのことを思います。ひとりで食べてしまいたいけど、分けてあげないといけないような気もする。「ピギー(ブタちゃん)にも分けてあげようかな?」「でもこのフレーバーは嫌いかもしれないから分けなくていいや!嫌いなものをシェアするのはよくないと思う。」分けなくても罪悪感を感じないような理由を必死で探すゾウくんですが、やはり親友のことが頭を離れません。長い大葛藤の末、アイスクリームは…!? そしてそこに現れたブタちゃん!可愛らしい展開です。

★ Oh, boy! 

この表現はポジティブな場面(嬉しい、喜んでいる)で使う時とネガティブな場面で使うことがありますが、この本では「やった~!」「わ~い!」に当たります。ちなみにネガティブな使い方では、「あらら、それはちょっと…」「それは酷いなぁ・・・」と一人で呟いたり、相手の話を聞いて相槌のように言うことがあります。

★ Should I…? 

「~すべきか?」という表現ですが、非常によく使う助動詞ので、いい練習になりますね。

★ I blew it. 

「(せっかく・・・だったのに)私、台無しにしちゃった。」という意味です。このblow(動詞の変化はblow, blew, blown😉)の使い方は日本ではあまり馴染みがないでしょうか。相手に対して「You blew it!」と言うと、「アナタが台無しにしちゃったのよ!」のような感じで大喧嘩に発展しますね。例えば、It was going so well until you blew it! (あなたが台無しにするまでは、すごくうまくいっていたのに!)のような使い方をします。私は大昔、アメリカで運転免許の路上試験を受けた際、試験官に「You almost blew it.」ーもうちょっとでダメになるところだったよーと言われたことが記憶から離れません。😅 (ギリギリの合格判定でした。)

この本の良いところは、内容が愉快なだけでなく英語学習にもぴったりなところです。日常的によく使う表現やよく聞く表現がたくさん出てきますし、ストーリーは全てゾウくんとブタちゃんの会話になっているので、普段使うような自然な口語が学べます。短い文がほとんどですし、文法の面でも日本人が引っかかりやすいようなわかりにくい表現はほとんどありません。英会話教室でも教材として使われることがあるようです。この本はおうちで親子で読んでみてもいいかと思います!小学生のお子さんにもお勧めです。

以上、3冊でした。ご意見やご質問、リクエストなどありましたら幼稚園の方にご連絡ください。それでは、またオンラインクラスで!

JIA園長 江頭知華子

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